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そして二人だけになった

うーん、ネーム悩み中。
気晴らしに最近読んだ小説の感想でも書きます。

重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ (新潮文庫)
(2006/06)
伊坂 幸太郎

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マガスペの「シネマニア」コーナーで映画版を特集するにあたって、予習する為に読んだ原作本。
伊坂作品を読むのは2作目。
なんだか「アヒルと鴨のコインロッカー」とだいぶ作風が変わっててビックリ。

なんとなく冷たく澄んだ印象。すごくデリケートで難しい問題を扱ってるせいもあると思うけど。
一応ミステリーっぽい体にはなってるんだけど、ミステリー小説としての巧緻さはあまり無く、テーマはおそらく家族愛です。


陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
(2006/02)
伊坂 幸太郎

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伊坂作品3作目。
こっちのほうが「アヒルと~」に近い印象。
「重力ピエロ」と比べて、いい意味ですごく軽いというか。
ジメっとしてなく、タイトルどおり陽気で、小難しいことを考えずに読める、すごくエンターテイメント性が強い一冊。
後半、事態が鮮やかに収束していく、伏線がどんどん回収されていくのは、やっぱり読んでて気持ちいいです。
やっぱ僕はこういうのが好きなんだなぁと再確認。


そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)
(2002/11)
森 博嗣

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【かるーくネタバレあり?】
タイトルは、たぶんアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のオマージュ。
内容もそれらしく、閉鎖空間で次々に人が殺されていきます。
それだけ聞くとすごい本格ミステリーっぽいですが、そこは森博嗣。
ミステリーにおいての決まり事を逆手にとって、見事に騙してくれます。
メイントリックにはしびれましたし、伏線も鮮やかだったんですが、ラストは、はたして必要だったのか疑問です。
作中のセリフ「壊れるように作った」「どうして、壊してはいけないのかな?」
というセリフがなんだか象徴的。

でも、最後の大オチが判明してから読み返しても、ちゃんと整合性がとれてるんですよね。
それがすごいなぁと思う一方で、大オチの縛りをを無くして前半を書いてたら、もっと面白くなったのになぁ、とも思います。
なんだか、不思議な気持ちになる一冊でした。
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[ 2009/04/30 19:36 ] 小説 | TB(0) | CM(2)

パラドックス学園―開かれた密室

今日は打ち合わせでした。
14日発売の9GOATS BLACK OUTのアルバム、フライングで買って帰ろうとしたら、まだ並んでなかった…しょぼん。

今日、電車のなかで読了した小説が面白かったので、ひさしぶりにご紹介。

パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫)パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫)
(2009/01/08)
鯨 統一郎

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ジャンルはミステリーです。
ミステリーのトリック…なかでも密室モノのトリックは、もはや出尽くして、新しいものは生まれないと言われて久しい昨今ですが、これはすごいですよこれは…!
驚天動地の大トリックです。びっくりした。
ともすれば「ふざけるな」になりかねないところを、状況設定で「なるほど」に落とし込んでいるところがすごい。
こういう○○系の作品の中では、個人的に今までで一番です。

ちなみにこの作品、「ミステリアス学園」という作品の続編らしいということに、読みながら気づいたんですが、前作読んでなくても、まったく問題なく楽しめました。

ミステリーを読みなれている人ほど楽しめると思います
普通じゃないミステリー読みたい、そんな方にオススメ。

BGM:夜想 -nocturne -/9GOATS BLACK OUT
[ 2009/02/13 23:27 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

子どもたちは夜と遊ぶ

単行本カバーのカラー中。
連載原稿がないので、余裕ぶっこいていたら、けっこう〆切がやばいことに。
あれれ?

最近読んだ小説の感想など。

子どもたちは夜と遊ぶ 上 (1) (講談社文庫 つ 28-3) (講談社文庫 つ 28-3)子どもたちは夜と遊ぶ 上 (1) (講談社文庫 つ 28-3) (講談社文庫 つ 28-3)
(2008/05/15)
辻村 深月

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子どもたちは夜と遊ぶ
上下巻の2冊。
この作品の本質というか魅力は、ミステリー小説としてのプロットの巧緻さよりも、キャラの立たせ方、その心理描写にあるかと。
いや、そもそも、ミステリーじゃなくラブストーリーなのか?
キャラの内面をえぐるような、洗練された文章がステキ。
切ないラストも印象的ですごいよかったです。


悪夢の観覧車 (幻冬舎文庫 き 21-2)悪夢の観覧車 (幻冬舎文庫 き 21-2)
(2008/05)
木下 半太

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悪夢の観覧車
これは最高に面白かった。
まさに「面白かった」という感想がふさわしいエンターテイメントミステリーです。
↑の「子どもたち~」と逆で、文章の切れ味よりも、プロットで勝負するタイプ。
練りに練られた伏線が鮮やかに回収されて、ストーリーが集約していく様は、読んでてゾクリとします。
キャラもマンガ的で、好きになれました。
映像化に向いてる小説ではないかなぁと思います。2時間映画のシナリオに丁度いい感じ。


アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
(2006/12/21)
伊坂 幸太郎

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アヒルと鴨のコインロッカー
これはミステリー…なのか?と思いながら読み進めていったけど、ちゃんとミステリーでした。
これも「うまいな~」とうならされた作品。
伏線の貼りかたが技あり。「あのシーンは、ああいうことだったのか」という感覚は、たまりません。
メインストーリーと関係のないところの描写が、深みを与えてるかんじがします。
映画にもなってるみたいなんだけど、どうやって映像にしたのかがすごい気になります。
[ 2008/07/15 13:46 ] 小説 | TB(1) | CM(1)

葉桜の季節に君を想うということ

僕は寝る前に、枕元で読書をよくします。

で、そのとき口さびしいので、寝酒がわりにお酒を飲む事も多いんですが、聞くところによると、寝酒ってあんまり良くないらしいですね。
なんでも、熟睡を妨げるとか…(ちゃんと調べてないので定かではないですが)。
あと太るし(笑)。
ほどほどにします。

そんなわけで、最近読んだ本の感想でも書きます。

マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)
(2003/05)
冲方 丁

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「マルドゥック・スクランブル」
上、中、下の3部作(↑の画像は上巻)。
これはアシスタントのSくんから借りたもの。
「面白いんで読んでください~」と、3冊どさっと渡されたときは、うわー3冊か…長いな~。と思ったけど、一気に読めました。
抜き身の刃のような文章(抽象的だな)がステキ。
キャラも、ウフコックとバロットの、あの近くて遠い関係がすごくいい。キャラの良さも一気に読めた要因。
寺田克也さんのカバーイラストもかっこいいです。

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫 い 17-1)扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫 い 17-1)
(2008/02/08)
石持 浅海

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「扉は閉ざされたまま」
2005年版の「このミステリーがすごい!」第2位作品。
いわゆる倒述ミステリー。
舞台設定が、一見普通なんだけど、考え抜かれてて面白い。
淡々と状況を説明する飾り気のない文章は、まぁ読みやすくはあります。
疑問を持った人が多かったというラストも、個人的には好き。
登場人物が多い上に、とくにキャラ付けはしてないので、序盤のうちは、「あれ、これ誰だっけ」ってことがあるも、後半慣れました。

φは壊れたね (講談社文庫 も 28-34)φは壊れたね (講談社文庫 も 28-34)
(2007/11)
森 博嗣

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「φは壊れたね」
大好きな森博嗣さんのGシリーズの第一弾。
文庫待ちだったので、文庫で読めて嬉しいです。カバーデザインもステキ。
森作品に共通している、巧みな言葉選びと、キャラの立たせ方は健在。
「なんちゅう文章書くんだ!」と思わされることもしばしば。
第二弾の「θは遊んでくれたよ」も読みました。こっちも良かった。
海月と加部谷の絡みが好きです。

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
(2007/05)
歌野 晶午

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「葉桜の季節に君を想うということ」
2004年版「このミス」第1位作品。
前情報を頭に入れずに読んだ方が面白い系。
なので多くは語りません。
仕掛けは鮮やかだけど、ちょっとあざといかんじも少しします(笑)。


さて、そんなわけで、ネーム直しにもどります。ジャッ!
[ 2008/06/06 23:29 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

ドグラ・マグラ

胎児よ 胎児よ 何故躍る
母親の心がわかって おそろしいのか

小説「ドグラ・マグラ」を読了。
最初の刊行が1935年という、たぶん僕の読書歴のなかで最も古い作品。

「一大奇書」「読む者は精神に異常をきたす」などの謳い文句につられて、専門学生時代に一回挑戦した事があったんですが、その内容の面妖さと、意味不明さ(失礼、僕が未熟なだけ)に、途中で挫折して、幾年月…。

最近、映画版の「ドグラ・マグラ」を観て、それが内容をうまく整理してくれていて面白かったので、もう一度小説を読みなおしてみたわけです(邪道ですが…)。

今回も、相変わらずの常軌を逸した内容に、正直途中でくじけそうになったんですが、同じ轍は踏むまいと、がんばって2か月くらいかけて読み切りました。

まあ、完全に内容を理解できたかといえば、できてません。
構成の妙とでもいうか、メインのプロットははっきりしてるんですが、視点や表記法がめまぐるしく変わるんで、幻覚をみているような…
でも、「なんかすげぇ」ってのはビシバシ伝わってきたし、なんだかいろんなものを得た気がします。
映画「2001年宇宙の旅」を観たときもこんなかんじだったな…。

また何年かしたら、再読してみようと思いました。

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
(1976/10)
夢野 久作

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[ 2008/04/28 02:34 ] 小説 | TB(0) | CM(0)